物件概要
多可町加美区
昭和52年新築
母屋2階建+附属建物(居宅・物置)
田(約500㎡)附属
静かな住宅街にあり、2階の窓からは川沿いの桜並木が見える立地にある中古住宅。この中古住宅と、今お住まいの二つのお家を管理されていた売り主様。家族の思い出がたくさん詰まった素敵なお家を、新たな引き継ぎ手に渡されました。
紡:今回、私たちに新たな活用をお任せくださったお家について、これまでの経緯を簡単にお聞かせいただけますか。
所有者様:私は現在多可町内の集落に住んでいるのですが、今回、紡さんにお世話になったのは、姉が住んでいた別の集落の家です。一人暮らしだった姉が亡くなった後に空き家になってしまったんですが、この家は8年前に亡くなった大工だった私の夫が建てた家です。その後も家が傷んだりしないように管理をしてきたのですが、周囲にたくさん畑もありますので草刈りだけでも大変でした。
私もだんだん歳をとってきて、街の方に出ていってしまった息子と娘もこっちに帰ってくることもなさそうなので、新しい方に住んでいただくために手放すことを決めました。
紡:現在、ご自分が住んでおられるところの敷地もありますし、それに加えてもう一軒分のお世話は本当に大変だったのではないかと思います。
所有者様:特に草刈りは大変で、私は軽い充電式の草刈り機を使っているのですけど30分ほどしか電池がもたないので途中で充電しに帰ったり、斜面の部分もありますので、そこから転げ落ちて腰を打って今でも少し調子が悪いですね。姉が夫に頼んでくれて、自分が好きなように要望を伝えて建てた家なので、毎日通って大切にしてきたのですが「もうこれは続けていけない…」と感じました。
紡:多可町で生まれ育ったとお聞きしていますが、子どもの頃の思い出などがあれば教えていただけるでしょうか。
所有者様:姉が新たに家を建てて住んでいた場所は、元々、私が子どもの頃に家族で住んでいた古い茅葺き屋根の家があった場所なんです。家の中から茅葺きの裏側が見える場所がありましたので、茅の中で休んでいた大きなヘビが部屋の中にドスンと落ちてくることがよくありましたよ。小学生ぐらいのときから親の畑や田んぼの仕事を手伝っていましたが、周囲の子どもたちもみんな手伝っていましたね。
その頃は林業も播州織も盛んでしたので、鍛冶屋駅から加美町を通り抜けて青垣まで鉄道を敷くという話もあったくらいです。
紡:家を手放すにあたって、何か心配しておられたこととかはありますか。
所有者様:子どもの頃からずっと住んでいた地域で、周囲には見知った方ばかりいる地域ですので、私が手放したことによって周囲とうまくいかない方が購入して、村に迷惑がかったらどうしようということが一番心配でした。
それぞれの村には日役やお祭り、お当(神社のお守り)、観音さんなど、いろいろな役割やお世話をしないといけないことがありますので、そういったことを理解して来てくれる人だったら良いなと思っていたのですが、今回、ご縁があった方は本当に良いご夫妻でしたのでとても安心しました。本格的に越して来られるまでにはまだ2、3年あるようですけど、それまでは私も彼らがうまく村に馴染めるようにお手伝いさせていただければと思っています。
紡:その他に、町内で生活をしておられて何か困っていることなどはありますか。
所有者様:空き家を管理していると、野生動物が入ったりして家が荒れてしまうのは親や先祖に対して申し訳ないと感じるのですが、やはり2つの家のお守りはできないのが現実です。シルバー人材センターなどに草刈りや庭の剪定をお願いすることもできますけど、それなりに費用がかかりますのでとても大変です。
歳をとるといろんなことができなくなってきますので、ちょっとしたお助けマンのような役割の方がそれぞれの集落にいてくれると嬉しいなと思っています。
息子は公務員なのですが、彼が住んでいるところの空き家対策の部署で仕事をしていたことがあるようです。いろいろな課題があって、とても大変だったと言っていました。いずれの地域も空き家の問題と人口減少の課題は大変なことなんだなと感じています。
紡:多可町だけではないのですが、人が少なくなっていく中で、まちの未来がこうあって欲しいなという思いなどがあればお聞かせいただけますか。
所有者様:本当に若い人が減って高齢者ばかりになっているので、多可町というまちがいずれ消滅してしまうんじゃないかという不安はあります。もっと若い人に来てもらって、まちが元気になってもらいたいですね。私の子どもたちも街に出て帰って来ないのですが、大きな地震とかが起きたときのために実家は残しておいた方が良いんじゃないかと言っておられる周囲の方々もおられます。何かあったときに子どもたちが助かるんじゃないかなと思うのが親心ですが、実際に一人で管理をするのは大変ですね。
でも、私も若いときには神戸などの街に出たいと思っていたので、気持ちは分かりますよ。一人暮らしもしてみたいなとも思っていましたが、町内で縁があって結婚したのでそれからずっと多可町暮らしです。住めば都で災害は少ない地域ですし、自然も豊かで良いところです。
私が若い頃は中村町の商事会社に勤めていたんですけど、当時の中村町の方面に比べるとこっちの加美町の方は随分田舎でしたので、中村町の喫茶店にコーヒーを飲みに行ったりすると「あの人は不良じゃないか」と言われたこともあるくらいです。今となっては笑い話みたいな感じですけど、当時は中町の方にはたくさん女工さんがおられましたし賑わっていましたよ。
紡:今回、私たちに家の新たな活用についてご依頼をしてくださったのですが、我々のように多可町に特化して古民家等の活用の取り組みを行いながら、しかもスタッフ全員が多可町在住という団体があることについてはどう感じておられますか。
所有者様:それは本当に安心です。最初からお世話してくださった紡の宅建士・山本さんは、難しい話でも私にも分かるように何度も説明してくださいましたし、やっぱり多可町のことをよく知ってくれている人がお世話をしてくれるのは心強いです。
以前、別の業者の方に家の査定をしてもらったことがあるのですが、その金額が妥当なものなのか私にはよく分かりませんでしたが、やはり専門家である紡の大工さんにも一緒に見てもらえたら一時的な修繕のことなども相談できましたので安心感がありました。不動産屋さんではそこまで面倒は見てくれないので、とても丁寧に寄り添ってくださって助かりました。

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