紡:最初に、田舎暮らしに興味を持たれた経緯を教えてもらえますか。
奥様:主人が神戸で電気店を経営してるんですけど、同居していた娘が5年ほど前に『田舎で暮らしたい』って言ったことがあったんですよ。それだったら、まず畑と思い、西宮のシェア農園を借りたんですけれど、言い出した娘は独立して都会暮らしをしています。私たち夫婦は畑仕事がとても楽しくて、いつか田舎に行けたら良いねと話し始めたのが最初です。
その後、神戸の北区にある古い病院を改築した田舎暮らし体験ができる宿泊施設に泊まりに行った事があり、そこでも畑を借りることができるということだったので、そちらに畑を借り替えました。そこから田舎暮らしに魅力を感じ始めたんです。北区は移住ブームの時に古民家が売れて無くなってしまったそうで、残っている物件や新たに出た物件でも1千万円以下はほとんどありませんでした。
なので、つぎは丹波篠山で2軒ほど古民家を見せてもらいましたけど、しっくりくるものに出会えませんでしたね。
旦那様:私がまだ現役で仕事をしていますので、すぐに移住って感じではなくて、実際に拠点を移すとなればいろいろ整理しなければならないので、しばらくは二拠点生活を続ける考えです。
今回、いろいろ探しているうちに想像していたより早く多可町で家に出会ったという感じで、これもなにかのご縁と思っております。
紡:田舎暮らしをしようと思ったときになにか不安だったこととか、それを払拭してくれるようなエピソードがあれば教えて下さい。
奥様:最初に多可町を知ったのは、YouTubeで検索したときに紡さんが移住してきたご家族の古民家の大掃除をお手伝いしている番組を見たときのことです。その家のオーナーが早期退職をして民泊をしようとしておられる方だったので、『そういう選択肢もあるんだ』と思って勇気づけられました。
町の空き家バンクで紹介された移住サポーターの方で私たちよりも年上の方がおられるんですけれど、お一人で移住してきたという話を聞きましたので『すごいな〜』と思って背中を押された感じでした。
ちょうどそうしたことがあったときに紡さんが紹介している物件に出会ったので、宅建士の山本さんに見学にいかせてもらったんですけど、最初の物件はかなり改修作業が必要だったので見送ることにしました。でも、紡さんに自分たちが希望する条件をお伝えして他の物件も探してもらうことにしました。そこで紹介していただいたのが今の家です。昭和の家で古民家ではないんですけど、このままでも住めるぐらい状態が良かったというのも決め手でしたし、何より売主様がとても優しくて移住後も相談にのっていただけそうだなと感じました。
旦那様:母屋の裏に築100年ぐらいの建物があるんですけれど、本格的に移住してから少し改造しないといけませんが、農機具などを置く倉庫という感じの扱いなのでそのままになっています。母屋の設備はボイラーも浴室もそのまま使えます。
奥様:川沿いの桜並木が見える窓を透明ガラスに取り替てもらったんです。私はそこがお気に入りの場所です。窓から外を眺めながら贅沢な時間だと思いながらすごしてます。川沿いでは時期がくると蛍が見れます。
紡:多可町っていう場所は、もともと知っておられたんですか。
旦那様:いえ、知りませんでした。町の定住コンシェルジュだった小椋さんが、座談会で何人かの移住者の方にインタビューをしている動画をYouTubeで見たのが最初です。
お隣の神河町とかもネットでの情報は知ってましたけど、多可町のことはその動画が印象的でちょっといい感じだなと思っていました。
奥様:私の中で紡さんの存在がすごく大きくて、町外の不動産店の方はいちおうその地域のことは調べてきてくれるんですけど、やはり、地域のこととか詳しい情報は、その地域で生きてきた人たちに聞かないと分からないことも多いので、山本さんの存在は大きかったですね。どの不動産店でも家を買うのは簡単なんですけど、その後のことの方が重要じゃないですか。
いろいろ調べていると、うまくお付き合いが出来なくてまた都会に戻ってきちゃうって話も聞きますので、その後も相談できる方がいるっていうのは安心ですね。
紡:田舎暮らしだと、どんなお付き合いとか暮らしがあるって想像されていましたか。
奥様:今住んでいるところは、人は沢山いるんですけれど、周囲の皆さんと疎遠過ぎるんですよね。何かあったときのコミュニティが無い感じなので、むしろ近すぎるぐらいでも良いのかなと思っています。
旦那様:ここの集落の皆さんはとてもウェルカムな感じですね。挨拶をすると次の言葉が出て会話ができる。フレンドリーな人が多くて、多可町タイムって言うか、時間がゆったり流れている感じがします。
奥様:町内無線ってあるじゃないですか。あれってすごく便利ですよね。
密集して家があるわけじゃないのに、あれがあるとちゃんと情報が得られて全然不安ではないんです。車で行けばお店もありますし、それなりに便利だけどロケーションはとても素晴らしい。そして、町全体がとてもきれいに管理されているように思います。
多可町の家はお屋敷みたいなとても大きな家が多いですよね。我が家は『コンパクトな家』って紹介されましたけど、それでも十分大きくて私たちにしたら丁度良い大きさの家です。田んぼがついているので、いつか自分たちでやってみたいなと思っています。完全に移住してこないとなかなかできないので、今はお貸ししてやってもらっています。
紡:いつ頃、本格的に越してこようかという計画はあるんですか。
旦那様:電気ってどこに行っても必要なものなので、拠点を移してどのように仕事を継続するのか、それとも、ある程度で見切りをつけるのかをも考えないといけないので焦るつもりはないんですが、あまりのんびり考えすぎて時間をかけすぎても良くないいので、上手く仕事の整理ができたら決断したいなと思ってます。
奥様:以前、三田市の方で紡さんのような活動をしている方に相談したら『歳を取ると体もどんどん思うように動かなくなっていくので、移住するなら出来るだけ早いほうが良いよ』っていうアドバイスをいただきました。確かにそのとおりだなと思うので、できれば元気なうちに移住するのが希望です。
私たちの年齢でも、『まだ若い方だから』って近所の方に言われました。こちらのご高齢の皆さんってすごく元気ですよね。こちらでは、きっと畑仕事や地域の活動で忙しくされているので、脳が活性化して元気なんでしょうね。
紡:こちらに越されてこられた後に、やってみたいことありますか。
奥様:ずっと仕事をしてきたので、私は何か商売をするなどということは考えてなくて、誰が来ても泊まってもらえるような場所にしたいなと思っています。
旦那様:自分がやれることをやって続けてきたので、今やそれが仕事なのか趣味なのか、やりたいことなのか…。という感じなので、自分がやれることをやれる歳までやるだけですね。電気屋の仕事も昔に比べると随分様変わりして、便利屋さんみたいになっていますのでいろんなことをやっています。そうして必要としてくれる方のお役に立てればと思っています。
西宮のシェア農園で指導員の方が作り方を教えて下さったのが初めての体験で、畑は面白いなと思っており続けていくつもりです。
奥様:野菜を作るのは楽しいですね。自分たちが食べるものぐらいで良いのですが、早く決断したが故の往復生活なので今は葉物野菜とかは作れないですけど、果物や花などにもチャレンジしたいと思っています。

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